『ミリメトロ』は回転ディスクウォッチです。この時計には針がありません。ミリメトロの読み方は非常にわかりやすいです。外周のディスクが時間、その内側が分、センターのディスクが秒です。上部にある扇型レンズのセンターに赤いラインがあります。その赤いラインに揃った時間、分、秒のそれぞれの数字が現在時刻となります。左の画像はちょうど12時を示しています。この時計は地球が太陽の周りを回るようにディスクが回転して時を刻みます。つまり針ではなく文字盤そのものが回転します。機械式時計が発明された今から700年前の14世紀頃、世界初の時計は回転ディスク式の時計でした。針で表示する時計の発明はその後になります。1970年代から80年代にこのような時計は非常に人気がありました。その時代の感覚を込めて新たにデザインされたのがミリメトロです。
トリフォグリオはイタリアの時計メーカーです。2010年アレッサンドロ・バルディエリによって設立されました。バルディエリは欧米で評価された時計のデザイナーですがキャリアのスタートは建築士及びインテリアデザイナーでした。トリフォグリオ設立当時、バルディエリは文字盤が回転する時計(いわゆる「転盤時計」)に興味を持つようになりました。このような時計には針がなく、文字盤が回転し、固定された印の位置で時刻を表示します。文字盤が回転するから「転盤」と呼ぶ人もいますが、通常この時計は回転ディスク時計などと呼ばれています。
時計の表示には主に2通りあります。ほとんどの方が抱いているの時計のイメージは針が回り時間を刻むというものでしょう。しかし、文字盤が回転し時間を刻むタイプも昔からあり、人によってはもっと見やすく、もっと正確です。また針が動く時計でも文字盤が回るものがあります。デイトやデイ表示がそれです。文字盤の下に日付や曜日のカレンダーのディスクがあります。動くのが1日に1回であっても時計のカレンダーは回転式文字盤になっています。
文字盤が回転する時計は最も古くからあった時計です。ヨーロッパの中世時代の絵画に初めて時計が描かれたのは文字盤が回転するタイプのものでした。針で表示するタイプはその後、発明されました。針がある時計が圧倒的に人気であっても文字盤が回転する時計は作り続けられました。ヨーロッパを始め、アメリカや日本の様々な有名時計メーカーが文字盤が回転する時計を数多く作りました。文字盤が回転する時計は特に1960年代と70年代に人気が高まりました。当時作られた国産の転盤時計は現在ではプレミアのついたコレクターズアイテムになっています。弊社のフェスブックページで新しいトリフォグリオの時計を紹介するのはもちろんですが12世紀から近年まで、様々な文字盤が回転する時計も随時ご紹介したいと思います。是非ご覧ください。バルディエリのデザインは現代と過去を意識しながら未来のことを探ります。
アレサンドロ・バルディエリはイタリアで生まれ14歳の時に家族と共にアメリカへ移住しました。バルディエリはアメリカとヨーロッパの二つの文化に深いルーツがあります。キャリアも教育もアメリカとヨーロッパにそれぞれあります。建築及びインテリアデザインはアメリカとローマで学びました。やがてロサンゼルスでの建築とインテリアデザインがイタリア系ファション業界から注目されるようになり、時計をデザインする依頼が来るようになりました。ヨーロッパの有名な時計メーカーのデザインを数多く提供し、2009年には時計のデザインだけに集中するため建築などをやめることにしました。間もなくバルディエリは自身の時計ブランド Alessandro Baldieri(www.baldieriwatches.com) を立ち上げ世界中の高級店で販売されるようになりました。そして市場に新生のデザインと手頃な価格の自動巻時計を展開するため2010年にトリフォグリオを設立しました。